京都の御池通と麩屋町通とが交差する場所に「柊家」という古い旅館があります。ノーベル賞作家の川端康成が京都での定宿にしていた旅館です。創業は文政元(1818)年で、最初は運送業と海産物商である本業の傍ら、主の出身地から京都に出てきた人たちに宿を提供していました。文久元(1864)年には旅館業を本業として、以来150年にわたり、京都を訪れる人々に宿を提供しています。何度か火災などに遭ったようですが、そのたびに改修して旅館業を続けていて、今でも創業当時から使われている客室があります。柊家旅館では伝統的な旅館の設備が利用され、サービスは「来者如帰」という柊家の変わらない伝統的な考え方で提供されています。

 「来者如帰」とは「訪れた人が自宅で過ごすように寛いで頂く」ということだそうです。客室には襖や調度品に至るまで、かなり貴重なものや格式の高いものが使われていて、此れ見よがしにされれば、これらに囲まれていることに息苦しさを感じるかもしれませんが、柊家では、ごく自然に扱われていて、まさに「来者如帰」で過ごすことができます。

 御池通は京都のメインストリートの一つで交通量が大変多く、道路の端ではかなり大きな声でないと話ができないほどです。しかし、一度、古い旅館の建物に入ると、外の騒音はほとんど感じず静けさに包まれます。また、真夏に行っても建物の中で暑さを感じることはなく、真冬に行っても寒さを感じることはありません。客室だけでなく建物全体の環境がみごとにコントロールされているだけでなく、古い建物にそぐわないエアコンの設備を宿泊客が直接目にすることはありません。騒音に対しては、部屋が襖や障子で囲われている外の廊下をガラス窓で囲い、さらに、その外側を建物の古さにマッチした色の枠でできたアルミサッシが囲っています。時代ごとに建物の風合いを壊さず、手に入る最新の設備を用いて常に環境を整える努力がされ続けていることを深く感じます。伝統的なサービスは変えることなく提供し、伝統的な建物は風合いを壊さなければ大胆に最新の設備を導入することで宿泊客が快適に過ごせるよう、渾身の力を注いでいることが訪ねた人に感じられ、極上の時間を過ごすことができるのだと思います。

 「伝統」は使われてこそ「伝統」で、使われなくなったものは「骨董」です。使われ続けるためには並大抵の努力では済みません。時代の変化を読み取り、時代の変化に即応して変わって行くことが「伝統」を伝える人の義務です。

（文：呉竹医療専門学校　校長　細野　昇）

 

【メッセージ】

医療、介護、健康産業、スポーツの現場など、東洋医学（はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧、柔道整復）の技術と知識を生かせる領域は大変広く、将来に向けた大きな可能性があります。多くの仲間や先輩、そして信頼できる師との出会いを通じて、人間としても成長のできる分野です。「ひとのためになりたい」という志があれば、誰にでも、何歳になっても、学びの門は開かれています。卒前・卒後ともできるだけ多くの体験をして、その中から自分が真に輝ける世界を見つけて下さい！

卒業したらすぐに活躍してほしいから、呉竹医療専門学校では、Ⅰ部（昼間部）に全日制を導入。姉妹校（東京医療専門学校、呉竹鍼灸柔整専門学校）で培われたノウハウを生かして、効率よく国家試験対策を行いながら、在学中に臨床力を目一杯向上させるための授業を用意。Ⅰ部でトコトン勉強して、３年間で３歩先行く技術を修得。演習を中心とした実践的な授業で腕を磨けます。

働きながら効率よく資格を取得したい方。呉竹医療専門学校には鍼灸科と柔道整復科にⅡ部（夜間部）を設置しています。姉妹校（東京医療専門学校、呉竹鍼灸柔整専門学校）で培われたノウハウに基づく教育システムで着実に国家試験合格を目指します。学校附属の施術所の他にクリニックも併設されていて、卒後教育システムも充実しています。大宮駅西口から徒歩５分ですから通学も便利です（地図）。

当校は80余年の伝統ある呉竹学園のネットワークを生かした就業支援や生涯学習の場の提供を積極的に行っています。あなたも呉竹学園の一員となって、新しい時代を担う医療人を目指しませんか。

 

 

 

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