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≪連載≫ごまめの歯ぎしり(6)『奈落の底』

2013年09月19日


 私が勤務していた整形外科病院には、常時、私を含めて6~7人の柔道整復師が勤務していました。この柔道整復師は2つのグループに分けられていて、一方は外来患者さんの治療の手伝いを担当し、もう一方は入院患者さんを担当するグループで、2ヶ月ごとに担当を交代するシステムになっていました。私は、勤務して3年目にその権力(とにかくグループの中ではチーフの言うことは絶対だった)に憧れていたこのグループのチーフに抜擢されました。抜擢されたというにはやや嘘があり、次々に先輩が開業のために退職して行き、私に「順番が回ってきた」というのが正しい表現です。しかし、このときの私の気分では、まさに「抜擢された」と思い込むほど自信満々でした。こうして、私は、もう一方のチーフであるT.K先生と共に、時にはT.K先生の向こうを張りながら自信に満ちて柔道整復師としての仕事を続けました。
  勤務して5年目の秋、T.K先生が開業のために退職され、私は、名実共に柔道整復師グループのチーフになりました。一方のチーフとしての仕事と、もう一方のグループの仕事内容にも目を配り、病院の業務に支障を来さないように注意し、また、他職種(看護職、給食担当、事務職、用度担当など様々な職種が働いている)との関係にも気を配らなければならなくなったのです。この仕事はかなりのストレスを伴うもので、あるときから自分の仕事に不調を感じるようになりました。いつもは難なくできる骨折や脱臼の整復がうまくいかない、固定をしている患者さんに神経麻痺や褥瘡を発生させそうになる、患者さんとのトラブルに巻き込まれるなど短期間に様々な障害に見舞われました。まさにスランプに陥った状態で、二度と立ち直れないのではないかと思うほどでした。自分が考え、責任を持って決めることに対するプレッシャーは並大抵のことではなく、自分の力不足を痛感すると共に、T.K先生や歴代のチーフを経験された先生方の力量に頭が下がる思いでした。
 そんなスランプ状態もコツコツと与えられた業務を続けているうちに、少しずつ回復して、勤務して7年目頃になると再び自信を持って仕事ができるようになってきました。私は「こんな経験をしたのだから、もう仕事が不調に陥ることはないだろう」と思っていた10年目に再び極度のスランプに陥り、毎朝病院に行くことが苦痛に成る程でしたが、これも数年かけ克服することができました。二度もスランプを経験し「もうないだろう」と信じていた矢先の退職1年前、突然、三度目のスランプに襲われました。まさに「奈落の底」に突き落とされたようで、「自分にはこの仕事が向かないのではないか」とまで思い詰めました。有り難いことに、このときは、勤務していた病院のOBでない柔道整復師の先輩が、苦境に立った私を心配して話を聞くやら助言をしてくれるやらして頂き立ち直ることができました。人間は、一人ではどうにもならないことを知ると共に、どんなに経験を積んでも、どんなに勉強しても「完全はない」ということを学び、教訓としています。
(文:呉竹医療専門学校 校長 細野 昇)

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